円安も半導体不足も追い風に最高益 浜松ホトニクスは「出来すぎ君」

大平要
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 最先端の光技術を使った機器製造で知られる浜松ホトニクスが、11日に発表した2022年9月期決算で、過去最高益を大きく更新した。円安も、世界的な半導体不足も、同社には追い風だった。

 売上高は前年比23・5%増の2088億円、純利益は64・8%増の412億円。いずれも過去最高だった。純利益は、これまで最高だった前年と比べ、162億円も上積みした。森和彦上席執行役員は「この1年は出来すぎ君」と笑顔だった。

 同社は半導体の製造に欠かせない機器を、数多く手がけている。深刻な半導体不足が起きるほど需要が高まっており、世界中の大手半導体製造会社が設備増強を急ぐ中、同社への注文も急増した。また、電気自動車(EV)用電池を検査する機器でも大きなシェアを持ち、EVの普及に伴って販売が大きく伸びている。

 同社は海外での売り上げが7割を超えるが、多くは国内で生産し、輸出している。このため円安によるプラス効果は、売上高で100億円、営業利益で80億円にのぼる。

 一方で、森氏は「生産が忙しすぎて、研究開発にまで手が回らなかった」と明かす。この1年の研究開発費は112億円で減少が続いている。23年9月期は154億円に増やす計画で、その後も増額を予定している。

 先行きについて森氏は、「米国の景気減速や半導体の市況には注意している」と話す。ただ、まだこなし切れていない注文も多く残っており、しばらくは勢いが続きそうだ。同日発表した23年9月期の売上高は前年比13・1%増の2362億円、純利益は2・7%増の424億円を予想している。(大平要)

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