日韓首脳会談、3年ぶりに開催へ 13日に対面で、背景に北朝鮮問題
日本政府は12日、岸田文雄首相と韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が訪問中のカンボジアの首都プノンペンで13日、初めて対面による正式な首脳会談を行うと公表した。日韓首脳会談は2019年12月、当時の安倍晋三首相と文在寅(ムンジェイン)大統領以来、3年ぶり。
首相と尹氏は、東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議に出席するためプノンペンを訪問している。日韓の最大の懸案である徴用工問題が解決していないことから、日本側が対面による首脳会談に難色を示してきた。そのため、首相と尹氏はこれまで、電話協議や国際会議に合わせた立ち話と懇談にとどまっており、対面による正式な会談は初めて。
徴用工問題が解決していないなか、首脳会談が行われる背景には北朝鮮問題がある。弾道ミサイルを異例の頻度で発射。核実験に踏み切る可能性も高まっている。日韓の連携が必要なため、官邸幹部は「徴用工問題が解決しない限り、会談できないとはいかなくなった」と言う。
また、尹氏が日韓関係改善に前向きに取り組んでいることも要因になっている。今年9月に米ニューヨークで首相と尹氏が懇談。その後、徴用工問題などをめぐって、10月には日本外務省と韓国外交省の局長、次官がそれぞれ協議し、解決に向けた議論を重ねる。首相周辺も「協議は着実に進んでいる」とし、尹政権の姿勢を評価した。
尹政権側がソウルの繁華街・梨泰院(イテウォン)での雑踏事故の対応に追われ、調整は難航したが、実現につながった。ただ、徴用工問題が正式に解決する前に正式会談に臨むことには、自民党保守派などからの反発も予想される。(プノンペン=西村圭史)
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- 【解説】
日韓首脳会談をめぐる両政府の最近のやりとりは、ちぐはぐぶりが際立っている。積極的だった韓国側の熱がやや下がってきたかと思うと、今後は日本側の姿勢が前のめりになり、3年ぶりの「正式会談」は13日夕刻に開かれる運びとなった。 日本政府はこ