トランプ派、接戦州で象徴的な敗北 党内から「ステージ降りるべき」
米国の中間選挙で、大接戦が続いていた上院選は、劣勢をはね返して民主党が制する結果となった。共和党のトランプ前大統領としては、カギとなる接戦州で自身が推薦する候補が敗れたのが痛手となった。
民主党はカギとなる接戦州を次々と制したことで、上院での多数派維持を確実にした。敗れたのは、いずれもトランプ氏の推薦を受けた候補者たち。トランプ氏の「敗北」を印象づける結末となった。
上院の接戦州は、事前に4州(ペンシルベニア、アリゾナ、ジョージア、ネバダ)に絞られていた。共和党は「2勝」すれば上院の過半数に届く計算で、その可能性は高いとみられていた。
だが、結果は共和党の「3敗1分け」に終わった。トランプ氏の過激な主張に同調する候補たちが、支持を広げられなかったことが敗因とみられる。
接戦4州の「親トランプ派」の候補は、政治経験の乏しい新顔が多く「候補者の質」にも問題があると不安視されていた。同じ州でトランプ氏から距離をとる共和党候補が得票を伸ばした例もあり、トランプ氏の推薦が「マイナス要因」になったと指摘されている。
AP通信の世論調査によると、無党派層の票が民主党に流れたことがうかがえる。政党支持者の数をみると、共和党が民主党をややリードしていた。だが無党派層ではアリゾナ州で民主党支持が30ポイントも上回るなど、接戦州で民主党が支持を伸ばして当選を勝ち取った。
有権者の4分の3が「米国は悪い方向に進んでいる」と答えたように、国民はバイデン政権の現状に満足しているわけではない。だが、共和党が政権への不満の受け皿となれなかったのは、2年前の大統領選の敗北をいまも認めないなど、民主主義を否定するかのようなトランプ氏の過激な主張が有権者の反発を呼んだのも一因とみられる。
「ステージから降りるべき時だ」
共和党内では、トランプ氏へ…
- 【視点】
トランプ氏が推薦した候補が多数当選したことは確かだが、ペンシルベニア州やアリゾナ州など重要な接戦州で競り負けたことの意味は非常に大きい。「トランプでは勝てない」という機運が共和党内に生まれてくるのも当然だろう。 トランプ氏が今後、党内