ロシアの右派思想家、プーチン氏を公然批判か「雨の王と同じ運命」
米シンクタンクの戦争研究所(ISW)は12日、ウクライナ南部ヘルソン市からのロシア軍撤退が、プーチン大統領と国内の戦争推進派の間に亀裂を生みつつあるとの分析を公表した。政権寄りだった著名人らがプーチン氏を公然と批判しており、プーチン氏の戦争遂行能力に疑問符がつき始めている、としている。
ISWによると、ロシアの右派思想家アレクサンドル・ドゥーギン氏は11日、保守系のニュースサイトでヘルソン撤退に言及。プーチン氏を念頭に、独裁者には国を守る責任があり、さもなければ「雨の王」と同じ運命が待つと主張した。
ドゥーギン氏やISWによると、「雨の王」は英国の人類学者フレイザーによる古代宗教の研究書「金枝篇(きんしへん)」に登場。干ばつの中で雨を降らせることができず、殺されたという。ドゥーギン氏は、運転していた車の爆発によって8月に死亡したジャーナリスト、ダリヤ氏(当時29)の父。
ISWはまた、国営テレビの司会者がヘルソン撤退を受け、無能なロシア当局者の解雇などを要求していると指摘。ロシアの軍事ブロガーの中からも、撤退を国への裏切り行為ととらえる動きがあるとした。
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- 【解説】
今回、チェチェンのカディロフ首長や民間軍事会社のプリゴジン氏は撤退を評価する姿勢です。その理由は、彼らはあくまでプーチン氏を頂点とする権力構造の中で、自らの地位向上を求めているからです。権力構造そのものが崩れてしまっては、元も子もない。強硬