「貸した30万円戻りますか?」調停手続きを模擬体験 甲府地裁

池田拓哉
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 【山梨】離婚や金銭の貸し借り、相続といった身近なトラブルを裁判に持ち込まず、話し合いで解決したい。そんな時に役に立つのが「調停」だ。制度が始まって今年10月で100年が経った。いざという時にどう利用すればよいのか。地元の裁判所で開かれた「オンライン体験会」をのぞいた。

 模擬調停の体験会は11日に甲府地裁とオンラインで11人を結んで実施された。「30万円の貸し借りをめぐるトラブル」を想定し、ドラマ仕立ての調停の映像を見ながら、解決案を考えた。

 設定は、父親が認知症となり、成年後見人となった息子の男性に対して、父親の介護ヘルパーの女性が「(父親に)2年前に貸し付けた30万円を返済してほしい」と申し立てる内容。

 実際の調停の手順に沿って裁判官と、一般市民から選ばれた男女1人ずつの調停委員が、双方から聞き取りを進めながら「落としどころ」を探っていく。

 男性は「父の署名がある便箋(びんせん)がたくさん出てきた。白紙に署名したものを(女性が)悪用したのでは」などと返済を拒んだが、印鑑については実物と認めた。

 結果的には、父親の署名と印鑑の正当性が認められ、返済義務があるとの結論に。男性は「(父親には)お金がないので15万円ならば返せる」などと主張し、裁判官と調停委員は20万円の返済を女性に提案し、女性が受け入れて調停が成立した。

 この事例で、女性が負担する費用について、地裁職員は「30万円の返済を求めたので、申し立て費用として1500円と収入印紙代。交通費は双方が負担します」と説明した。

 体験会に参加した笛吹市の市職員、斉藤貴子さん(60)は「裁判所での様々な手続きはハードルが高いと思っていたが、決してそうではないと思った」と話していた。

 調停は、裁判官と民間人の調停委員が、双方の意見を聞いて話し合いで解決する仕組みだ。お金の貸し借りや交通事故の損害といった「民事調停」と、離婚や相続など夫婦・親子関係といった「家事調停」に分かれる。調停の合意は、裁判の判決と同じ効力をもつ。

 申し立ての手数料は裁判より安く、手続きが終わるまでの平均期間は民事調停で4カ月、家事調停で7カ月ほど。非公開でプライバシーも保たれる利点もある。調停委員には弁護士や税理士などの専門家が主に選任される。

 県内では昨年、結論に達した民事調停が103件あり、不成立58件、取り下げ21件。結論に達した家事調停は490件で、不成立210件、取り下げ180件だった。(池田拓哉)