訪日旅行、富裕層に照準 遅れる日本、カギは「究極のカスタマイズ」
高橋豪
新型コロナの水際対策が緩和され、外国人観光客が戻ってきた。観光庁や日本政府観光局(JNTO)はさらなるインバウンド(訪日客)戦略として、富裕層の呼び込みに力を入れている。1人あたりの消費額が多いため、経済効果は高いが、受け入れ環境の整備など課題は多い。
政府は訪日客による消費額を年間5兆円にする目標を掲げ、1人あたりの消費額の引き上げに取り組む考えだ。そこで観光庁は1回の来日で1人100万円以上を消費する訪日客を「富裕層」と位置づけ、重点的なターゲットとしている。
JNTOの調査をもとに観光庁が推計したところ、コロナ前の2019年の訪日客(3188万人)のうち、富裕層は人数としては全体の1%にすぎないが、消費額でみると11・5%を占めていた。これは米国、英国、フランス、ドイツ、豪州、中国の6カ国の富裕層のみで、他の国の富裕層は含んでいない。
世界を見渡せば、保有資産が100万ドル以上の人が、21年からの5年間で約1・5倍になるとの民間の予測もあり、市場の潜在性があるとみている。
だが、日本は欧米に比べ富裕…