熱海土石流、市が法的責任を否定 業者対応など「政治的には責任」

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村野英一、山崎琢也 黒田壮吉、魚住あかり
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 静岡県熱海市は16日、昨年7月に同市伊豆山で起きた土石流災害に関し、行政対応をめぐる「市の見解」を発表した。市は、被害を甚大化させた盛り土の造成業者への対応や、避難指示を出さなかったことに法的な責任がないことを強調。斉藤栄市長は「政治的な責任を感じている」としながらも、自らへの処分などは示さなかった。

 見解によると、昨年7月3日午前6時30分、熱海市では土砂災害警戒情報が前日から継続し、気象庁の危険度分布(キキクル)は市北部から中心部にかけて濃い紫色の「極めて危険」だった。斉藤市長や稲田達樹副市長、消防長らは、危機管理担当者からの電話でこの情報を共有していたものの、斉藤市長に避難指示を進言する意見は出なかったという。

 土石流は午前10時台、避難指示が出されないまま発生した。内閣府のガイドラインは、土砂災害警戒情報を避難指示を出す判断の基本に位置づけている。だが見解は、指示の見送りについて「裁量権を逸脱した行政権限の不行使にあたるとまでは言えない」と結論づけた。斉藤市長は「じくじたる思いがある。(今後は)積極的に指示を出していく」と述べた。

 一方で、市が2007年3月、前所有者が提出した盛り土に関する届け出書について、重要事項が未記載にもかかわらず受理していた問題についても、見解は「一定の合理性がある」とした。市職員らが現場を確認するなどして内容を把握していたなどとして、「届け出書の不備を修正・補充させていれば、より実効性を持って対応できたとは考えにくい」としている。

 市は11年6月、業者に安全対策を講じるよう求める「措置命令」を出す方針をいったん固めた。しかし、業者による一部の防災工事の完了や土砂搬入防止対策の実施が市長に報告されたことで、命令の発出が見送られた。

 結果として防災工事全体は完了せず、盛り土の崩落につながった可能性が指摘されている。だが、見解はこの件についても「裁量権の逸脱がなかった」として対応に問題がなかったとした。斉藤市長は市担当者から現地の安全な状態が報告されていたとして、「危険性がなければ、措置命令は出せない」と弁明した。

 市長はこの日の記者会見で「市が多くの方々の生命と財産を守ることができなかったことについて、改めて深くおわびを申し上げます」と表明した。ただ、「道義的・政治的な責任を感じている」としながら、その責任の取り方は明確にしなかった。(村野英一、山崎琢也)

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