学校で頭痛、試合の度にトイレ…ある野球少年が「移籍」を決めるまで

藤田絢子
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 耳を疑うようなことを、小学5年生が語り始めた。

 「前のチームにいた時は、土、日の朝6時半から夕方6時ぐらいまで練習だった。疲れちゃって学校の宿題ができなくて、読書をしていないのに、『した』って先生に言っちゃったことがある」

 その少年はとてもバツが悪そうに、申し訳なさそうに打ち明けた。

 茨城県つくば市の春日学園少年野球クラブを取材していた時のことだった。少年は、以前所属していたチームの練習に疑問を感じ、春日に移ってきた。春日では、罵声による指導や保護者の負担となる練習時のお茶出しなどの当番制の排除に取り組んでいる。

 少年の両親をまじえ、春日に移った理由について、さらに聞いた。

 その家族が「移籍」に踏みきった決定打は、学校での個人面談だった。

 「息子が午前中の決まった時間に頭痛を訴えると担任から聞いたんです」と母。家に帰ってくるとけろっとしていたが、その頃、息子は試合の度にしきりにトイレに駆け込んでいた。

 試合に負けると、そのあと厳しい練習を課される。今思えば、精神的に追い詰められていたと両親は振り返る。

 春日は、筑波大病院放射線科の画像診断医として野球ひじの問題と向き合う岡本嘉一さんが2013年に立ち上げた。自身の息子が野球をしたいと言ったのをきっかけに、複数のチームを見学し、指導者がどなりちらす光景、長すぎる練習に「衝撃を受けた」という。

 春日の練習は週に1度、半日だけ。「『腹6分目』にすることで、もっとやりたいと自発的に練習をするようになる。時間の使い方もうまくなる」

 そうやって勉強と野球を両立させていた卒業生が、今年春、東大に合格したという吉報も届いた。(藤田絢子)

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