「核のごみ」処分場はどこへ 北海道の2町村に続く自治体なく
核のごみ(原発から出る高レベル放射性廃棄物)の最終処分場の選定に向けた全国初の文献調査が、北海道の2町村で始まって17日で2年をむかえた。道知事が調査に反対で、次の調査に進むのは難しい。地域に分断をもたらす処分場の候補地に名乗りを上げる自治体は他にない。原発回帰を強める岸田政権に、「後始末」の問題が重くのしかかる。
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寿都(すっつ)町と神恵内(かもえない)村で行われている文献調査は、20年程度に及ぶ選定プロセスの第1段階にあたる。調査に応じた自治体には最大20億円の交付金が出る。
文献調査は火山や地震などの論文やデータを集め、不適地を除外する作業だ。事業主体の原子力発電環境整備機構(NUMO)は、これまでに約760点の資料を集めたという。
経済産業省は、月内にも文献調査の評価基準を議論する審議会を初めて開く。調査終了の目安となる2年は過ぎたが、「さらに数カ月はかかる」(経産省幹部)見込みだ。
今後の焦点は、ボーリングで地質などを調べる「概要調査」に移るかどうかだ。最終処分法に基づき、概要調査に入る前には両町村長と北海道知事に意見を聴く。国は「市町村長や知事の意見に反して先へ進まない」としている。
NUMOは2021年4月から両町村でそれぞれ住民向けの「対話の場」を計23回開き、地層処分の内容を説明したり、専門家が講演したりしてきた。ただ、メンバーは約20人に限られる。寿都町では個別に住民向けの勉強会も開くが、参加者は少ない。15日夜に寿都町で開かれた対話の場の後、片岡春雄町長は「対話の場や勉強会に出る人は少ない。気をつかって調査を話題にする町民が少ない」と嘆いた。
背景には文献調査への賛否についての分断がある。片岡氏が20年8月に調査への応募検討を表明すると、町は賛成派と反対派に二分された。21年10月の町長選では片岡氏が反対派の前町議を破り6選したが、得票率は56%にとどまった。
片岡氏は、文献調査に応募する自治体が続かないことが問題だとも指摘する。「10カ所ぐらい手を挙げ、全国的に(核のごみについての)勉強が始まると、寿都町民も気兼ねなく勉強会に参加してもらえる」
町は概要調査に進む前に賛否…
- 【視点】
岸田政権下で原子力発電の再稼働が前進していますが、核のごみの処理方法が決まっていない、また核のごみは後世に引き継ぐことになるという倫理的問題について、エネルギー問題を扱う際に含めなければならない話題です。海外ニュースでは日本が原発再稼働に前