愛知県愛西市の集団接種会場で、新型コロナウイルスワクチンを接種した女性が体調を悪化させて死亡した問題で、県医師会は17日、検証結果を公表した。重いアレルギー反応の「アナフィラキシー」が疑われた状況だったとし、「その場でアドレナリンの筋肉注射をすべきで、体制に問題があった」と指摘した。
医師や学識経験者らでつくる県医師会の「医療安全対策委員会」で検証を進め、柵木(ませき)充明会長や担当者らがこの日、会見した。
ワクチン接種後に亡くなったのは飯岡綾乃さん(42)。県医師会と市によると、飯岡さんは5日午後2時18分ごろ、オミクロン株などに対応したファイザー製のワクチンを接種。7分後にせきをし始め、車いすで看護師が救護室へ移動させた。
医師が初診をしたのはその4分後で、皮膚症状や消化器症状など、アナフィラキシーで認められる所見はなかったという。1分後に泡状の血痰(けったん)を大量に吐くなどし、さらに4分後に心停止したため、医師は酸素投与や心臓マッサージなどの救命措置を行ったという。アドレナリンの筋肉注射は行われなかった。
今回の事例について、県医師会は、最終的な病態解明には至らなかったとしつつ、「最重症型(のアナフィラキシー)であった可能性が想定され、医師が呼ばれた時点においてアドレナリンが投与されても救命できなかった可能性が高い」とした。
一方、飯岡さんの異変に気づいた際、アナフィラキシーを想定しすぐにアドレナリンの筋肉注射をしていれば救命できていた可能性にも言及した。市によると、接種会場に医師は2人いたという。県医師会は、アナフィラキシーを想定した役割分担を事前に決め、迅速に対応できる体制を整える必要があるとした。
柵木会長は「副反応が出た時…

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