87年遅れの出生届「父の戸籍に載せて」 フィリピン残留日本人2世

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編集委員・大久保真紀
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 フィリピン残留日本人2世の女性(87)が日本国籍の取得を求めて来日している。フィリピン残留2世については、外務省が調査を続けるが、この女性はその存在さえ把握されていなかった。戦後77年。2世の高齢化が進む中、まだ全体像もはっきりしていない。

 女性はフィリピン・ルソン島に暮らすアイダ・シラキ・ダビドさん。父親の白木四郎さんは1925年にフィリピンに渡り、現地の女性と結婚。マニラ麻のプランテーションなどを経営した。戦時中は軍属として日本軍の通訳として働いた。敗戦間際には家族を連れて日本軍とともに山中で行動を共にしたが、空襲でアイダさんと姉が家族とはぐれた。

 アイダさんらは母方の祖母宅に避難。敗戦となり、白木さんが強制送還される前に迎えに来たが、祖母が「2人を連れて行くなら自分を殺してから行け」と引き渡さなかった。白木さんは妻とアイダさんの妹弟ら下の子ども3人を連れて帰国し、家族は離散した。

 アイダさん姉妹は祖父母に育…

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