まさに朝令暮改の「更迭劇」だった。
11月11日夕、首相官邸3階エントランスで待ち受けていた記者団に、岸田文雄首相が切り出した。
「軽率な発言によって、今後の補正予算あるいは重要法案の審議に迷惑をかけたくない。身を引きたいとの申し出があった」と明かして、こう続けた。「重要政策の審議などに遅滞が生じることを考慮し、辞任の申し出を認めました」
この4時間前、首相は参院本会議で、葉梨康弘法相を続投させる考えを示したばかりだったが、一転して辞任の発表。首相はこの急展開ぶりについて、この日午後1時すぎまで続いた衆院法務委員会の後に、葉梨氏から辞職の申し出があった、と説明をした。
しかし、葉梨氏が辞意を首相に伝えたのはこの時が初めてではなく、慰留していたのは首相だった。
首相の決断の遅れが与党の「岸田離れ」を招く悪循環をたどっており、「辞任に至った責任を重く受け止めている」という言葉がむなしく響いた。
首相が慰留「委員会やった後で考えよう」
葉梨氏の「失言」が明らかに…
- 【視点】
岸田首相は、法相更迭に至るまでに、いったんは慰留していたんですね。更迭直後に記者団からあれこれと聞かれた首相が「丁寧に説明を尽くしてと指示した。国会に臨んでもらった。そして、辞任の申し出があった」などと、経過説明を繰り返した理由が腑に落ちま
- 【視点】
法相更迭劇がいかにドタバタだったか。その舞台裏が取材に基づくディテールとともに、よくわかる記事です。 政権はもちろん、大きな組織を運営するときは、想定されるリスクを念頭に中長期をにらんで、ひとつひとつの局面ごとに厳しい判断をしていかな