ロシア側トップがプーチン擁護の訳は? 正教会の歴史に見る深い対立

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聞き手・田島知樹
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 ロシアのウクライナ侵攻は宗教の対立でもあるという見方があります。ロシアもウクライナもキリスト教東方正教会の存在が大きいですが、元駐ウクライナ大使でキリスト教の歴史にも詳しい角茂樹さん(69)によれば、この正教会の歴史をたどることで見える両国の複雑な関係があるようです。

 ――先日、ロシア正教会トップのキリル総主教プーチン大統領を、悪魔払いをする「チーフ・エクソシスト」と呼んだとして話題になりました。

 プーチンが示すウクライナ侵攻の理由はころころと変化しています。「迫害を受けるロシア系住民を助ける」「ネオナチ政権からウクライナを救う」と言った具合です。今回キリル総主教は、悪魔=西欧にとりつかれたウクライナを救うという理由を示し、プーチンを象徴的にチーフ・エクソシストと呼んだようです。

 ロシア帝国の時代からロシア正教会は皇帝に権威を与える役割を持っていました。ロシアで政治と教会は分離ではなく、調和の関係にあるのです。外交官時代に革命期のロシアに赴任した芦田均はその政治を「神権政治」と呼びましたが、今でも当てはまると思います。

 ――なぜ調和の関係にあるのでしょうか。

 ロシア正教会は、西欧のような宗教改革も啓蒙(けいもう)思想も経験せず、700年近く殻に閉じこもってきたことが大きいでしょう。そしてこの歴史から、プーチンらが主張するウクライナはロシアと一体という考えも、非常に独自の歴史観であることが分かります。

 ――まず、ロシア正教会を含む東方正教会とはどんな宗教なのでしょうか。

正教会の歴史を振り返るとロシア正教会の「異質さ」が浮かび上がります。記事の後半では、ロシア、ウクライナの正教会が政治の影響を強く受けている経緯もひもときます。

 東方正教会とは、カトリック…

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