止まらないタクシー、運転手たちの悲鳴 ソウルの夜を覆う「大乱」
ソウル=稲田清英
空車のタクシーがなかなか来ない。最近、韓国のソウルでよく聞く嘆き節だ。新型コロナ禍の規制がなくなり、街に出る人が増えたが、「市民の足」の担い手は苦境にあるようだ。
いなだ・きよひで 経済部やオピニオン編集部、国際報道部などを経て5月からソウル支局長。地方で名物料理を味わうのが楽しい。
金曜日の深夜、ソウルの繁華街の大通り。タクシー乗り場で待つ会社員の男性(29)は「本当につかまりにくくなりましたね」とこぼした。タクシーは、会食などで遅くなった時によく使う。「運転手がほかの業種に流れて減ってしまったとも聞きましたが」
韓国では4月、新型コロナ対策による飲食店の営業時間の制限などの規制がなくなった。飲み会帰りの会社員らのタクシーの需要は急増した。
ただ、乗りたい人がいるのに、見合った数のタクシーが走っていない。街中にはアプリで必死に探したり、通り沿いで待ち続けたりする人の姿がある。深夜だけとも限らない。
「タクシー大乱」
韓国メディアには、こんな言葉がおどるようになった。
韓国のタクシーは運賃が割安…