カナリア諸島のおじが語るペドリ 「ぴょんと飛び出す」小兵を長所に
カナリア諸島の秋は暖かい。10月下旬でも気温は30度近く。少し歩くだけで汗ばむほどだ。
スペイン・バルセロナから空路で3時間半。アフリカ北西の大西洋に浮かぶテネリフェ島は欧州有数のリゾート地として知られる。
この島から生まれた若者が注目を集めている。
「ペドリ」ことペドロ・ゴンサレス・ロペス。19歳にして、すでに名門バルセロナとスペイン代表で中心選手だ。
緑の山々と畑に囲まれたテゲステという人口1万人ほどの町が彼の故郷だ。
レアル→バルサファンになった島民
平日の午後3時ごろ。街中心部にあるカフェテラスで、ペペさん(68)はビールを飲みながらうれしそうに語った。
「ペドリは友だちの息子だ。いつもこの通りでお兄ちゃんとボールを蹴っていた。『人にぶつかるからやめなさい』と注意したこともある。ボールを扱う技術はずば抜けていたね」
「実はね」とスペインでは強烈なライバル関係にある名門の名前を挙げて、ペドリの影響力を教えてくれた。
「私はずっとレアル・マドリードのファンだった。でも、ペドリが入ったからバルセロナのファンに変わったよ。この町にはそんな人がいっぱいいるんだ」
ペドリの家系はテゲステで知られた一族だ。
カフェの前には郵便配達人アントニオ・ゴンサレスさんの銅像が立つ。50年にわたって手紙を届け、慕われた男性はペドリの大おじにあたる。
「ペドリは何人いるんだ」
祖父フェルナンドさんも“有名人”だ。50年前に開いたレストラン「タスカ・フェルナンド」は創業者が亡くなった今も家族が経営し、地元の人々の憩いの場となっている。
ドアを開けると、左手の壁に…