弱みを見せたら負け。「できないヤツ」と思われたくない。つべこべ言わずにやれ――。長い年月をかけ、男性中心に築かれてきた職場に凝縮された「マッチョイズム(男らしさの規範)」は、皮肉なことに、組織の生産性を損ねているのでは? そんな疑問を、経営者や管理職を対象にしたコーチングやキャリアカウンセリングを手がけるリクルートワークス研究所の研究員、筒井健太郎さんにぶつけてみました。
――職場において、マッチョイズムはどんな形で表れますか。
弱みを見せないこと、仕事最優先で長時間働くことができること、競争を好み、「勝つ」ことを最優先に力を注ぐこと、といった考え方です。
働く人に無理を強いているのがいまの状況で、それでいいパフォーマンスを生み出せるかといえば、そうとはいえません。
なぜなら、生産性や創造性は、多様性のある環境で生まれるというのが最近の考え方。でもマッチョイズムの強い環境は、「自分らしくあること」を阻んでいます。
「自分らしくあること」は自尊感情を高め、自己肯定感や目標に対する努力意識が健全に育まれる。それによって組織内のコミュニケーションがしやすくなり、イノベーションも生まれやすくなる、という好循環が生じます。ありのままの自分でいることが、生産性を上げると考えられています。
競争を否定できない男性
――なぜ職場はマッチョになってしまいがちなのでしょうか。
日本の職場は正規雇用の社員…

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