途上国に農村開発支援の資金を提供している国際機関、国際農業開発基金(IFAD、本部・ローマ)のアルバロ・ラリオ総裁が来日し、18日、都内で朝日新聞のインタビューに応じた。途上国の小規模農家の多くが気候変動に対応できず、日本の総人口以上の人たちが新たに飢餓に陥っていると指摘。「日本の技術と経験を、特にアフリカの国々に提供してほしい」と訴えた。
ラリオ氏によると、途上国では多くの場合、小規模農家が国全体を養っているが、気候変動による干ばつや洪水、土壌や水質の悪化に適応できていないという。気象災害に直面している国では作付けさえできない状況で、「飢餓と食料安全保障の観点から、壊滅的な結果をもたらすことになる」と警鐘を鳴らした。
IFADや国連世界食糧計画(WFP)など国連の5機関によると、2021年の飢餓人口は計8億人に上った。このうち、新型コロナウイルスの影響で日本の総人口を超える1億5千万人が新たに飢餓に陥っており、ラリオ氏は「破壊的な数字だ」と語った。
一方、こうした状況に対処するため、途上国に食料を提供しても、「明日また同じ問題が起こるだけ」で、根本的な解決にはならないという。
ラリオ氏は、気象災害の早期…