サッカー・ワールドカップ(W杯)カタール大会に向けて、ドーハで合宿を始めたころだった。日本代表DFの山根視来(川崎フロンターレ)は、うれしそうに言っていた。
「みんなから、『頑張って』『楽しんで来てくれ』と言われた。せっかくの舞台。まずは自分自身が楽しみたい」
感謝の思いは、これまで支えてくれた指導者やチームメートに向けられていた。
11月27日のコスタリカ戦で先発し、夢だったW杯のピッチに立った。5日(日本時間6日午前0時開始)の決勝トーナメント1回戦、クロアチア戦でも、出番が来れば持ち味の突破力を存分に発揮するつもり。
そんな山根が日本代表に初選出された際の、恩師とのエピソード。
「まだ頑張ろう、できる限りやらなきゃなって思いました」
僕の原点。サッカーの楽しさを教えて頂き、ありがとうございます。みんなの楽しみが増えるくらい活躍します――。
濃紺のケースを開けると、小さな青い旗とともに、自分宛ての感謝状に日本代表にまで育ったDF山根の直筆メッセージがつづられていた。
6月下旬、あざみ野FC(横…