初の中東開催となったサッカーW杯。アラビア半島の小国だったカタールは近年、天然ガス資源を背景に存在感を持ち、サッカーへの投資を加速させています。その「狙い」とは。スポーツと地政学に詳しい英国人学者サイモン・チャドウィックさんに聞きました。
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カタールが英国保護領から独立したのは1971年。まだ半世紀です。このアラビア半島の小国について、一昔前まで世界の人々は基礎知識がなかったはずです。
日本ならソニー、トヨタ、富士山、すし、天ぷら、「カワイイ」など、外国の人がイメージできるものがあります。米国ならマクドナルド、コカ・コーラ、ハリウッド、ニューヨークの自由の女神……。どんどん浮かびます。
12年前、22年ワールドカップ(W杯)の開催国に選ばれたことが、カタールという国が劇的に変わる合図でした。世界屈指の埋蔵量を誇る天然ガスは今後100年は枯渇することはないとされ、その資源を元手に投資を加速させたのです。11年には政府系投資ファンドがサッカー・フランスリーグのパリ・サンジェルマン(PSG)を買収しました。
狙いはいくつかあります。ま…