セルビア代表監督、ピクシーの右腕は日本人 祖父へのウソからW杯へ

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岩佐友
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 サッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会に挑むセルビア代表に日本人コーチがいる。喜熨斗(きのし)勝史(かつひと)さん(58)。「ピクシー」の愛称で親しまれ、J1名古屋グランパスでも活躍した同国代表のドラガン・ストイコビッチ監督の「右腕」として指導者のキャリアを積んできた。サッカー界で生きると決めたのは、小学生の時。それは一つの“うそ”から始まった。

歌舞伎の名家に生まれて

 歌舞伎役者の名家に生まれた。祖父は二代目市川小太夫。大伯父は初代市川猿翁。父は歌舞伎を継がず、喜熨斗さん自身も「全くその道を考えていなかった」。

 小学校に入る前にサッカーに触れ、ボールを蹴ることに夢中な少年だった。

 忘れられない出来事があったのは11歳の時だ。

 病に倒れ、余命いくばくもない祖父が入院する病院に駆けつけると、親族に声をかけられた。

 「おじいちゃんが亡くなるから、ウソでもいいから『跡を継ぐ』って言って」

 喜熨斗さんは「言えないよ」と返した。

 でも、病室に入り、祖父の姿を見ると、自然と口に出た。

 「俺が継ぐから、大丈夫だよ」

 祖父は「うんうん」とうなず…

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