ベッカムと同じ街クラブから巣立ったケーン 太った遅い子の長所
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元イングランド代表のスター選手、デービッド・ベッカムさんの両隣で、喜びと緊張が入り交じった表情の少年と、柔らかい笑顔を見せる少女。右はイングランド代表FWハリー・ケーン。左は後にケーンの妻となるケイト・グッドランドさんだ。
「2人の代表キャプテンがここから育ったんだ」
この3ショットを誇らしげに見せてくれたのは、ロンドン北東部に拠点を置く街クラブ「リッジウェーローバーズFC」のイアン・マーシャル会長(54)だ。
10月中旬、平日の夕方に練習場を訪れると、小学生の子どもたちが少人数のグループに分かれて、ボールを蹴っていた。
「6~7歳は5人対5人、8歳以上は7人対7人でプレーする。たくさんボールに触れることが大切だから。ハリーもそうやって育ったんだ」
ベッカムとケーンはともに、このクラブで幼少期にプレーした。
「ベッカムは全体練習後、持てるだけのボールを運んで、独りでFKの練習をしていた。ハリーは試合が終わった後にいつも走っていた。みんなと同じ練習では物足りず、やる気にみなぎっていたのは共通点だね」とマーシャルさんは言う。
17歳にして強豪マンチェスター・ユナイテッドでデビューしたベッカムに比べ、ケーンの歩みは苦労が多かった。
7歳で名門アーセナルのスカ…