止まらぬ辞任ドミノ 山梨県内の受け止めは……

池田拓哉 佐藤靖 吉沢龍彦 羽場正浩
[PR]

 寺田稔総務相が事実上更迭され、この1カ月間で辞任した閣僚は3人目となった。物価高、長引くロシアのウクライナ侵攻、拡大が懸念される新型コロナウイルスの第8波……。課題が山積する岸田政権の現状について、師走を控えた山梨県内の人たちはどう受け止めているのか。

パン店「値上げ追いつかず 対策を」

 「1年で2回値上げしたのは初めてです」。甲府市で「ずんちゃんパン」を営む深沢秀明さん(58)は、店の全種類のパンを2月と6月に5円ずつ上げた。小麦粉、砂糖、油、ガス、電気……。それでも、これらの高騰分は2回の値上げで吸収できないという。

 そんな中での「辞任ドミノ」に落胆している。「物価高対策は政治の責任。自分が目先のことで一生懸命の時こそ、政治家の質をしっかり見極めたい」

 甲府市の銭湯「喜久乃湯温泉」。おかみの平賀理恵子さんは「ガス代が1年間で3割以上も高騰しました。負担増は数万円どころではありません」と嘆く。

 コロナ禍による客の減少に、燃料費の高騰が重なった。しかし、入浴料金は県が決めるため、上げるわけにはいかない。平賀さんは「物価高対策は国の政治が安定しないと進まないのではないか。政治家はしっかりしてほしい」と訴える。(池田拓哉)

観光支援「不安」

 県内の観光地には「全国旅行支援」を利用した観光客が訪れ、一定の経済効果が出ているとされる。一方で、今月15日には新型コロナの新規感染者が2カ月半ぶりに1千人超に。「第8波」が懸念される中で相次ぐ閣僚の辞任に、観光に携わる人たちからは不安の声も漏れる。

 大月市の紅葉の名所・猿橋。市観光協会によると、国内客のほか、外国人客も増加しているという。「土産の売り上げが増え、街もにぎわいつつあります」と協会の担当者は話す。

 第8波への警戒感は高まるが、現場でできる対策は限られている。今後、新たな支援策が必要になる可能性もあるが、この1カ月で3人の閣僚が辞めた政権下では難しいかもしれないとも感じる。「コロナとの共存を考えながら経済を回していくしかありません」(佐藤靖)

「平和へ役割を」

 「まったく許せない」。核兵器廃絶をめざす市民運動に取り組む元中学校英語教師の服部町子さん(75)=甲州市=は岸田政権に対して、こう憤る。「旧統一教会をめぐる問題でも対応は後手後手。『聞く力』と言って期待を持たせましたが、国民の声をぜんぜん聞いていないのではないでしょうか」

 世界では、ロシアのウクライナ侵攻が長期化し、プーチン大統領は核兵器の使用すらちらつかせる。北朝鮮ミサイル発射を繰り返し、朝鮮半島情勢の緊張を高めている。

 「国際社会はかつてない危機の中にあるのに、日本は何をしているのか。岸田首相は被爆地・広島の選出で、核保有国と非保有国の『橋渡し役』になるとも言っています。言葉通りに行動して、役割を果たしてほしい」と求めた。(吉沢龍彦)

選挙へ影響懸念

 県内は来年1月に知事選と甲府市長選の「ダブル選挙」のほか、二つの市議選が控えている。自民党県連の関係者は「国と地方の政治は違う」としながらも、影響を懸念する。

 知事選をめぐり、自民党県連は分裂選挙の流れが濃厚になっている。ただでさえ難しい状況の中、岸田内閣の支持率も低迷する。

 「1カ月で3人の閣僚が辞任するなんて、異常事態だ。残念でならない」と言う県連関係者は期待も込める。「区切りをつけて形を示す。そういう姿勢を国民がどう見るかだ。知事選の投開票まであと2カ月。その時には今の状況が落ち着いていてほしい」(羽場正浩)