人権問題に揺れるW杯 「オシムの言葉」ライターが考える選手と政治
カタールの人権問題に抗議する選手、国歌斉唱をしなかったイラン代表、ロシア代表の排除――。サッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会が、政治や社会の影響の色濃く出た大会になっている。国別対抗のW杯で、サッカーと国家、選手の政治的メッセージをどう考えればいいのか。旧ユーゴスラビアなどで民族差別やスポーツを取材してきたノンフィクションライター木村元彦(ゆきひこ)さんに聞いた。
――戦争下、しかも開催国での人権問題が注目されるなかでの大会になりました。
「サッカーの世界的な祭典というより、そうした暗い側面が注目されている感すらあります」
――前回開催国のロシアは、国際サッカー連盟(FIFA)によって出場停止処分となりました。
「侵攻に関してはロシアの選手はどうしようもありませんし、プーチン大統領を支持していない選手もいると思いますが、戦争を引き起こしたロシアという国のチームを排除したわけですね」
「スポーツは政治から逃れることはできません。しかしだからこそ、政治に絡め取られないようにするため、個人と国家という観点から見るのが重要だと私は考えます」
――どういうことでしょうか。
旧ユーゴなどで政治に翻弄される選手を取材してきた木村さんが、国歌斉唱をしなかったイラン代表や、カタール大会に批判が起きている人権問題など、サッカーと政治について語ります。
イラン代表はなぜ国家斉唱をしなかったのか
「例えば東京五輪、北京冬季…
- 【解説】
現在行われているサッカーW杯についての本質的な問題を、木村元彦氏は鋭く指摘しています。スポーツと政治の関係性、個人の尊重について語る以下の言葉には実に説得力があります。 「スポーツは政治から逃れることはできません。しかしだからこそ、政
- 【視点】
ノーベル平和賞を共同受賞したこともある国際人権NGO「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」が田嶋会長の発言に対し、先ほど声明を発表した。 「日本サッカー協会会長、カタールの人権問題を傍観~JFAは方針転換を。カタールにおける移住労働者の人権侵害