警視庁は、会社の採用試験で使われるWEBテストを就活生の代わりに受検したとして会社員の男を私電磁的記録不正作出・同供用の疑いで逮捕し、22日発表した。男は容疑を認め「学生から感謝されたり就活の相談を受けたりしてお金をもらえることに非常にやりがいを感じていた」と話しているという。WEBテストの代行行為が摘発されるのは全国で初めて。
サイバー犯罪対策課によると、逮捕された田中信人容疑者(28)=大阪市北区=は今年4月、東京都内のクレジットカード会社に就職活動していた女子大学生(22)の依頼を受け、女子学生が受け取ったIDとパスワードを使って代わりにWEBテストを受検した疑いがある。受検時、身分証などを使った本人確認は求められなかったという。
同課は22日、この女子学生も共犯容疑で書類送検した。今回の容疑を含め計23社分のWEBテストを計約10万円で田中容疑者に依頼していたという。その中には、不正対策のために受検中の様子をカメラで映すものもあったが、テストが表示されたパソコン画面と田中容疑者のパソコンとを遠隔でリンクさせ、ワイヤレスイヤホンで田中容疑者から口頭で解答を聞いていたという。
京都大院卒の関西電力社員
捜査関係者によると、田中容疑者は関西電力社員で京都大院を修了。約4年前に友人に誘われて受検の代行を請け負うグループのメンバーとして活動を始め、その後独立して1科目2千円程度で受検を代行していたという。ツイッター上では自身の学歴をアピールし、「通過率95%以上」などと実績をうたっていた。
同課は、田中容疑者が今年7月に家宅捜索を受けるまでの約半年間で、約300人から計約1千社分のテストを代行し、報酬として計約400万円を得たとみている。田中容疑者は約4年前に受検代行を始めて以降、「4千件くらいのテストを代行した」と供述しているという。
WEBテストは、提供する会…