創業300年の酒蔵が被災、ライバルが救った コラボ酒に込めた思い

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池田良
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 この春、創業以来の蔵が壊れてぼうぜんとする酒蔵を救ったのは、本来ライバル関係にあるはずの酒造会社だった。自社の蔵を貸し出し、原料の酒米も提供。苦境の中で新たな酒も生まれた。

 創業時からあるれんが造りの煙突が重機で引き上げられるのを見て、大沼酒造店(宮城県村田町)の大沼健(たけし)社長(40)は胸を痛めた。「やるせなさと寂しさもありました」

 日本酒「乾坤一(けんこんいち)」で知られる1712年創業の老舗だ。最大震度6強を観測した今年3月の福島県沖地震で、洗米や蒸しなどの仕込みで使う蔵1棟が被災した。特に木造の天井部分の損傷が激しく、蔵人らに危険が及ぶため、仕込みを断念せざるを得なかった。

 「乾坤一」をはじめ今年の新酒づくりが山場を迎えた矢先で、定番品とは違う酒を仕込み始める大事な時期でもあった。幸い、貯蔵用の蔵など他3棟は無事だったが、仕込み用の蔵が使えなくなったことで、総生産量の3割の醸造が見込めなくなった。

 「最後の仕込みができません…

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