三笘薫、伊東純也、長友佑都――。劇的な逆転勝利を挙げたサッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会初戦、ドイツ戦のピッチには多くの大学出身選手が立っていた。今回の日本代表に選出された大学出身選手は9人。
全日本大学サッカー連盟理事長で、関東1部リーグ・流通経大サッカー部の中野雄二監督は「大学関係者が難しい時期も腐らずにやってきた結果」と話す一方で、「日本サッカー界の宿題でもある」と語る。どういうことか。
1993年にJリーグが開幕したころのことだ。
日本サッカー協会の首脳が発したとされる次の言葉が、今も大学関係者の胸に、悔しさとともに刻まれている。
「学校体育の役割は終わった」
サッカー先進国の欧州や南米では、プロクラブの下部組織で選手を育て、10代でプロデビューさせるのが一般的な流れだ。
Jリーグの誕生を受け、日本でも有望な選手は大学を選ばず、高校卒業後に直接プロへ進むようになった。
日本がW杯初出場を果たした98年フランス大会のメンバー22人のうち半数の11人が大学出身だった。
それが2002年大会は一気に3人まで減った。06、10年大会は2人、14年が1人、18年が3人。ここ数大会での存在感は薄かった。
中野監督たちも、こうした状況に手をこまねいていたわけではない。
「大学には、18歳でプロに…