卵食べろと強要されても「お断り」 鶏を敬う神事、北条政子との縁も

根岸敦生
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 栃木県栃木市都賀町家中の鷲宮(わしのみや)神社で23日、参拝者に卵を食べるように天狗(てんぐ)が強要する「強卵(ごうらん)式」の神事が3年ぶりに行われた。

 社では祭神・天日鷲命(あめのひわしのみこと)の使いとして鶏が大事にされてきた。歴代の神職は卵も鶏肉も口にしないのが伝統。参拝者も社に願いごとをする時は、鶏肉や卵を断って願掛けをするのが習わしだという。

 社伝では鎌倉殿2代将軍の源頼家が子供のころにかかった百日ぜきの治癒を願って北条政子が鶏肉と卵を断って祈願し、平癒のお礼の使者として佐々木高綱を派遣したと伝わり、鎌倉期の歴史書「吾妻鏡」の建仁3年10月14日の項に同社に馬を献上したとあるという。

 拝殿には鶏の絵馬が上がっていたり、境内のあちこちに鶏の像があったりと、今も鶏のゆかりを見せている。ただ、近年、この禁忌が廃れ、祭礼の際に焼き鳥や鶏のから揚げの出店が出るようになったのを憂え、先代の故菱沼至広宮司が氏子らが相談して「強卵式」を2001年から始めた。

 モデルは日光・輪王寺の「強飯(ごうはん)式」。裃(かみしも)姿の頂戴(ちょうだい)人8人に、天狗役が卵を押しつけ、食べるように強要するものの、頂戴人が「鶏や卵を食べないのが習わし。神前にお供えします」と答えることになっている。

 今年はこの天狗との問答の応答役を栃木市の大川秀子市長が務めた。

 菱沼拓己宮司(23)は「今年は久しぶりに『強卵式』を行うことができた。世の中が息災であることを改めて願っています」と話した。根岸敦生