サッカー・ワールドカップ(W杯)カタール大会で好セーブを連発し、日本代表を支えているGK権田修一。
スペインの猛攻を受けながら1失点でしのぎきった後、こう言った。
「僕らは天国も地獄も経験している。もてはやされても、批判されても、やることを変えずにできた」
ドイツに2―1と逆転勝ちした初戦では、国際サッカー連盟が選ぶこの試合の最優秀選手に選ばれた。
「最後、なんとか守れてよかった。みんながハードワークしてくれた」
試合後のインタビューではホッとした顔を見せていた。
ぶれない芯の背景に、何があるのか。
7年前。責任を背負い、自らを追い込んだ過去がある。
FC東京に所属していた2015年。日本代表に選ばれながら、体に異変を感じていた。
きっかけは、14年W杯ブラジル大会後にあった、W杯のアジア予選だ。
レギュラーを狙う立場だった。
なのに、4人のGKで唯一、ベンチにも入れなかった。
「日本代表でチャンスをもらえなくて、もっと成長しないと、と焦っていた。何をするのも楽しくなかった」
そんな焦りからトレーニング量を増やし、嫌いな走り込みも重ねた。
さらに体が重くなり、動かなくなった。
「うつのような症状」に陥っ…