第2回頭金払った新居が未完成 婚約者が去り、男性はローン不払いを決めた
北京=西山明宏
「地元に帰って結婚するために、家を買う」。中国山東省の養殖業の男性(28)は2019年3月、実家のある河南省で建設予定のマンションの1室を買うことにした。当時交際していた女性と結婚を約束し、念願の新居にするつもりだった。
場所は同省南部に位置する人口700万人ほどの駐馬店市。マンションには大型商業施設やホテルも併設される計画だった。男性の部屋は12階にあり、広さは150平方メートルで価格は65万元(約1300万円)。頭金として約半分を払い、20年10月末に引き渡される予定だった。
ところが、しばらくして同じマンションの物件を買った知人から、「現場を見に行ったら工事が止まっている」と知らされた。男性は驚き、すぐに開発会社「中原城置業集団」に問い合わせた。すると担当者の話から、工事を継続する資金がない状態だということがわかった。
中国不動産大手・恒大集団の経営危機が表面化して1年あまり。国内総生産(GDP)の約3割を生み出し、中国経済を牽引してきた不動産市場が冬の時代を迎えています。何が起きているのか。その現場を報告します。
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