第11回公明・北側副代表 敵基地攻撃の着手、「個別具体的に判断していく」
国の外交・防衛政策の基本方針「国家安全保障戦略」など安保関連3文書の改定に向けた自民、公明両党の協議で、最大の焦点となっているのが「敵基地攻撃能力(反撃能力)」の保有だ。
政府は敵基地攻撃について、相手がミサイルを発射する前であっても「着手した」と認定できれば「自衛の範囲内」という立場をとってきた。
ただ、相手が着手していない段階で攻撃すれば、国際法違反に問われる「先制攻撃」になりかねない。このため、公明党は「着手」を厳格に判断するよう求めてきた経緯がある。
敵が攻撃に「着手」したことをどう判断するのか。与党協議の公明党側トップを務める同党の北側一雄・副代表は11月17日、朝日新聞のインタビューに「個別具体的に判断するしかない」と答えた。どういうことなのか。
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岸田政権は年内に外交・防衛政策の基本方針「国家安全保障戦略」など三つの文書を改定します。今回の改定は日本の安全保障の大転換になるかもしれません。改定に関わる関係者、有識者に様々な視点から聞きました。
――安保関連3文書をめぐる与党協議「外交安全保障に関する協議会」の公明党側トップを務めていますが、協議の焦点は、敵のミサイル発射拠点などをたたく「敵基地攻撃能力(反撃能力)」です。能力は保有すべきだと考えますか。
「安全保障環境は厳しさを増しています。北朝鮮、ロシア、そして中国、それぞれが軍事力を増強しています。特に北朝鮮は弾道ミサイルなどの発射をかつてないほど繰り返しています。そのやり方も多様で、変則軌道や一度に何発も撃つ『飽和攻撃』などミサイル発射技術が極めて高度化している。これは否めない事実です」
「今まで日本はミサイルを迎撃する体制をとってきましたが、それだけで本当に日本の領土・領海に飛んでくるミサイルを全て破壊できるのか。これまでのミサイル防衛体制は限界が見えている」
「そのなかで、反撃能力を持つべきではないのか、という議論が出てきています。我が国の抑止力を強化していくという意味で、反撃能力の保有は重要なテーマです。検討していくべきではないかと思います」
「ただし、その場合も憲法9条があります。当然、国際法でも先制攻撃は禁止されています。いかにこれまでの『専守防衛』の考え方のなかでできるか。ここはしっかりと議論される必要があります」
――「反撃能力」を行使する場合、相手が攻撃に「着手」したことを認定する必要があります。この「着手」の概念を「厳格化すべきだ」と繰り返し強調しています。一方、政府・自民党内には厳格化すれば「手の内を明かすことになる」と慎重な意見もあります。
「外部からの武力攻撃がある前に反撃すれば、これは先制攻撃でしょう。先制攻撃にならないことは大前提です。それを『着手』という概念で言っています。これは個別具体的に判断するしかない。今から類型的に言えるわけがありません。そのときの国際情勢や、相手方の攻撃の態様、それまでの経緯や、さらには相手国が攻撃の意図を明示しているかどうか。そうしたことを総合的に考慮して、個別具体的に着手を判断していくわけです」
「自衛権を行使した場合には…

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