NHK、ネット業務「本業化」後の想定説明せず 有識者が提示求める

野城千穂、伊藤宏樹
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 NHKのインターネット活用業務を、放送と同様の「本来業務」に格上げすべきか検討する総務省の有識者会議「公共放送ワーキンググループ(WG)」は24日、NHKや日本民間放送連盟民放連)、日本新聞協会メディア開発委員会からヒアリングをした。WGは本来業務化で実現できることなどを示すようNHKに求めていたが、NHKは具体的な説明をしなかった。民放連などは業務の範囲などについて、説明や歯止めが必要だと訴えた。

 放送法は、受信料で運営されるNHKの本来業務をテレビやラジオの放送と定め、ネットでのニュースや番組の配信などは放送の「補完業務」と位置づけ、現在は年間200億円を費用の上限としている。

 NHKは海外の公共放送制度などを念頭に「補完業務という位置づけは世界的に見て違う」(前田晃伸(てるのぶ)会長)などと本来業務化に前向きな姿勢を示しており、総務省のWGは議論の前提として、現行制度の問題点や、本来業務化によって実現できることを具体的に示すようNHKに求めていた。

 しかし、この日開かれたWGの3回目の会合で説明に立ったNHKの伊藤浩専務理事は「視聴者や国民の意向をしっかり踏まえ、議論が深まることを期待したい」などと述べるにとどめ、本来業務化後に取り組む業務の想定について明言を避けた。

民放連や新聞協会は懸念「歯止めを」

 これに対し、民放連は「NHKが必須(本来)業務化を検討するのであれば、その趣旨や業務内容を具体的に説明してほしい」と要望。「インターネットは、大小様々なプレーヤーが切磋琢磨(せっさたくま)している事業領域。公共放送のインターネット活用業務のあり方によっては、事業環境に大きな影響を与える可能性がある」として、公正な競争を阻害しないために業務内容や予算など「厳格なハードルを設けるなどの取り組みが最低限必要だ」と主張した。

 さらに、ネット業務の財源や受信料制度の議論が置き去りになっている点にも懸念を示した。

 日本新聞協会メディア開発委員会は、NHKのネット向けコンテンツが番組の「理解増進情報」と位置づけられている半面、「政治マガジン」「取材note」といったネット独自の無料記事がすでに多く、「存在感は非常に大きく、民間なら有料にしなければ採算が合わない」と指摘。ネット活用業務が本来業務になり、予算上限がなくなれば「予算の歯止めが利かなくなり、事業が継続できなくなる(民間の)メディアが出てきかねない」と訴えた。

 その上で「ネット業務の本来業務化の議論に進む前に業務範囲を定めてほしい」と求めた。(野城千穂、伊藤宏樹)