さらなる支援よびかけ 西日本最大の盲導犬訓練所

前田智
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 視覚に障害がある人のパートナーとなる盲導犬。育成には多くの時間と費用がかかる。日本ライトハウス盲導犬訓練所(大阪府千早赤阪村)は年約20頭の盲導犬を送り出しているが、行政の補助だけでは費用をまかなえない。収入源の催しが中止になるなどコロナ禍の影響もあり、いっそうの支援を呼びかけている。

 西日本最大の同訓練所は1970年の設立。これまで790頭以上が巣立ち、関西だけでなく九州や関東などで暮らす視覚障害の人に盲導犬を届けてきた。

 現在は30頭が訓練中だ。今月上旬、富田林市中心部に訓練士の●(桑の異体字 十の下に草かんむり、さらにその下に木)木(くわき)雄介さんといたのは雌のキャリー(1歳5カ月)。訓練を始めて約半年。車や観光客の一団にも騒ぐことなく、落ち着いていた。

 交差点や段差の前で止まり、電柱などの障害物があるところでは一緒に歩く人がぶつからないように避けて通る。「ほめて覚えてもらいます」と●(桑の異体字 十の下に草かんむり、さらにその下に木)木さん。訓練の成果をキャリーが示すと、●(桑の異体字 十の下に草かんむり、さらにその下に木)木さんは体をなでて声をかけた。

 訓練所には35頭の繁殖犬がいる。年に約80頭生まれる子犬は、生後2カ月から1歳まで「パピーウォーカー」と呼ばれるボランティアに育てられる。そこで人との信頼関係をつくる。

 訓練所に戻り、約10カ月間の訓練が終わると、犬の性格なども考慮してユーザーとマッチングされる。巣立った後も訓練士が定期的に訪問し、支援する。向き不向きもあり、盲導犬になれるのは約3割という。

 育成には1頭あたり800万円ほどかかる。行政の補助でまかなえるのは、2割弱。残りは寄付や支援グッズの販売収入などに頼る。コロナ禍で催しでの寄付集めやグッズ販売が難しくなり、クラウドファンディングやネットでのグッズ販売にも取り組んでいる。

 盲導犬を希望する人は全国に3千人以上いるといわれる。●(桑の異体字 十の下に草かんむり、さらにその下に木)木さんは「必要としている人はたくさんおり、育成の流れを止めないようにしたい」と話す。

 同訓練所を支える「盲導犬を育てる会」はチャリティーカレンダーを販売している。子犬や訓練中の犬、盲導犬、引退した犬などの写真が掲載されている。卓上用と壁掛け用があり、いずれも1千円(別途送料)。収益は訓練所の盲導犬育成費に充てられる。問い合わせは同会事務局(0721・72・0914)へ。(前田智)

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