第4回内部資料が示すノルマ 元恒大社員が語る投資商品の自爆営業と末路
北京=西山明宏
昨年9月13日。広東省深圳市の中国不動産大手・中国恒大集団本社ビル(当時)に、約100人の投資家やマンション購入者らが押しかけた。「私のお金を返して」。人々の悲痛な抗議活動によって、恒大の経営危機が世界に知れ渡った瞬間だった。
そのとき人々が求めていたのは、恒大が売っていた「投資商品」の償還だった。この投資商品とは、何だったのか。
「恒大みたいな大きな会社がまさかこんなことになるなんて思ってもみなかった」。建築業界で働く北京市の男性(37)はこう振り返る。恒大が販売する投資商品を4回、計125万元(約2500万円)分購入した。そのうち7割超に当たる約90万元がまだ戻ってきていない。
中国不動産大手・恒大集団の経営危機が表面化して1年あまり。そのきっかけとなったのは、「確実にもうかる」と思われていた投資商品販売の行き詰まりでした。元社員が、その実態を記者に明かしました。
「『法治社会』なんて名ばかりだ」
きっかけは購入した恒大マン…