リクルート勤務の営業マンで、プロボクシングの日本王者に近づいている27歳がいる。
東京・三迫ジム所属の藤田炎村(ほむら)。
ここ2試合は格上の選手を破り、スーパーライト級(約63・5キロ以下)の日本ランキング4位まで浮上してきた。
藤田は同社の不動産情報サイト「SUUMO(スーモ)」の営業をしている。
夕方からジムで練習し、さらに練習後に仕事をする日もある。
プロボクサーとしての活動にも、ビジネスマンのノウハウが存分に生かされている。
国内のプロボクサーは、試合のチケットを自分で売るという慣習がある。
これこそ藤田の得意分野だ。
一人で売った1試合の最高枚数は300枚弱で、国内の選手でトップクラスの数字だ。
藤田はチケット購入者に、必ず3点を伝えるという。
①日本のプロボクシング界の構造。約千人のプロボクサーがいること
②その中で自分の立ち位置はどこで、この試合に勝ったらどうなるかの説明
③相手選手の情報
この3点に加え、SNSでは「1万円の席からならリングがこう見える」などの情報を画像つきで紹介する。自己紹介のチラシや資料も準備している。
「これらは、自分がお客さんとしてチケットを買う立場になったときに、当たり前に欲しい情報です。常日頃から、見る人の立場になるというのは、仕事では当たり前のことなので」
もう一つ、「炎村」というリ…