第6回公務員がマンションを売る奇妙な事態 識者が語るバブル収束の一手
北京=西山明宏
「家を買いませんか」。こう話すのは不動産の営業担当ではなく、地方政府の公務員だ。中国では、こんな奇妙な事態が各地で起き始めている。
中国南部にある広西チワン族自治区玉林市。この街が今年6月、中国メディアの報道で一気に注目を集めた。大学を卒業したばかりの公務員の男性が「担当する農村でマンションを売るよう命じられた」と告白したからだった。同市政府は今年初めに会議を開き、全部署あげて8千軒の住宅を売ることを目標に掲げたという。
男性は2月から、住宅を売るために農村の住民を対象に、市内の物件を見て回るバスツアーを毎週組んだ。マンションの売れ高は仕事の評価に直結し、毎月4軒は売らなければならない計算だった。同市では年内に住宅を買った住民に、税金の優遇措置や仕事の紹介をするなどの厚遇も用意。男性が担当した地域では4カ月超で30~40軒が売れたという。「公務員が家を売るなんてどうかしている」。中国のインターネット上では疑問の声が相次いだ。
中国ではいま、公務員がマンションを売るという不思議な光景が見られます。背景には不動産市場が地方財政に果たしてきた特別な役割があります。有識者は、バブルを収束させうる手段を記者に紹介しますが、現実はそう簡単にはいかないようです。
「地方財政こそが不動産問題の本質」
「我々は不動産会社に全力で…