新宿御苑の空き部屋が語る生物多様性の危機 COP15、12月開幕

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矢田文
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 12月にカナダのモントリオールで国連の生物多様性条約締約国会議(COP15)が開かれる。2030年までの国際目標を採択する見通しだ。保護や利用をめぐる対策が急務とされる中、各国がどこまで足並みをそろえられるのか注目が集まる。気候変動対策との連携も重要な論点となりそうだ。

 緑に囲まれた都心のオアシス新宿御苑東京都新宿区)。多くの人でにぎわうその一角にある温室には、いくつもの植物の鉢植えが並んでいた。ここでは絶滅が懸念される植物の域外保全が行われている。

 温室内には、ある空き部屋がある。オガサワラシジミという小さなチョウの域外保全が行われていた部屋だ。全長12~15ミリの小型のチョウで、成虫の羽はコバルトブルーの輝きを放つ。その名の通り、小笠原諸島固有種だ。

 かつては簡単に見られるチョウだったが、1980年代以降、外来種や開発の影響で減少。種の存続のため、2019年度から他団体の協力も得て御苑で域外保全が取り組まれていた。

 野生生物の保全は本来の自生地で保全することが原則だ。だが、それが困難な場合は、一時的に人間下で管理する域外保全の方法がとられることがある。

 だが、幼虫は生まれなくなり、20年の夏にはすべての個体が死んだ。18年の記録を最後に野外での姿は確認されておらず、絶滅した可能性が指摘されている。

 「作業に関わる人はみんな必死でした。でもだめだった。種を存続させることがいかに難しいかということ」と、管理事務所温室第1科長の関勝雄さんは言う。

 「もしかしたら次は、そんな気持ちでこの部屋は残している」と関さんは話す。

 10年に名古屋市で開かれたCOP10では、「絶滅リスクの減少」や「持続可能な生産と消費」など、20年までに目指す20項目を定めた愛知目標が採択された。だが、20年に公表された報告書では、一定の進展は認めつつも、完全に達成できた項目は一つもなかったと評価。実効性に乏しかった。

 愛知目標の後も、生物多様性の損失には歯止めがかかっていない。現代は「第6の絶滅期」とも言われている。原因は人間活動とされ、国連の報告書は、100万種の動植物が絶滅の危機にあるとも警告する。

 世界自然保護基金(WWF)が10月に公表した報告書によると、1970年から約50年間で、世界の生物多様性は平均69%減少。WWFインターナショナルのランベルティーニ事務局長は「このままでは子どもたちや将来世代に恐ろしい負の遺産をゆだねることになりかねない」と危機感をあらわにした。

 世界経済フォーラムの22年…

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    長島美紀
    (SDGsジャパン 理事)
    2022年11月27日14時10分 投稿
    【視点】

    2010年に名古屋でCOP10が開催されたとき、当時働いていた財団でCOP10の名誉大使の仕事に関わることがありました。お恥ずかしながら最初の反応は「生物多様性って何ですか?」。環境省の担当の方に一から教わったことを思い出しました。 生物