体育は何のため?米国では廃止の動きも 「平等に学ばせる」の先に

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忠鉢信一
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 様々な理由で、体育が嫌いになってしまう子どもたちがいます。教育のあり方の問題を指摘する声もあります。米オハイオ州のケント州立大などで10年以上にわたって保健体育科の教員を養成してきた佐藤貴弘・筑波大教授に、欧米との比較を土台に、日本の体育の課題を聞きました。

指導法は高いレベル、ただ多彩な指導は…

 米国の大学で10年以上、保健体育科の教員養成に関わりました。体育に限らず、国が学習指導要領を作り、教材研究やマニュアルが充実している日本の教育は欧米から見ると珍しい。そういう背景もあって、指導法という点では日本の教師は高いレベルにあると思います。

 ただ、カリキュラムやマニュアルに頼る分、子ども一人ひとりに合わせた多彩な指導ができる教師は多くないと感じます。みんなを平等に学ばせていると思っていたら、一人ひとりのニーズにはまったく合っていなかった、ということが起きている。その現象が可視化されたのが、「体育嫌い」の声だと思います。

 米国では、教育のスタンダードは示されていますが、何をどう教えるのかは現場の教師に任されています。多様な社会なので、マニュアル通りとはいかないのが実情です。裕福な地域の学校では、小学6年までにあらゆるスポーツを経験し、そのすぐ隣の貧しい地域の学校では、体育の用具はバスケットボール6個だけということがありました。

 ある子には当たり前のスポーツでも、別の子はやったことがないどころか見たこともないのが当たり前。教えるときには、日本よりもはるかに多くの段階に区切って動きを教え、使う言葉の意味も一つずつ定義していきます。

 外から見える体の動きだけではなく、意識の向け方や心の準備でも、米国では相手に合わせて具体的に教えます。この指導法は、スポーツで米国が好成績を挙げる理由の一つだと考えています。

米国では保健体育を廃止する動きも

 一方、米国では、保健体育を…

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