ざんばら、サラサラ、役の心をかつらに結う 歌舞伎床山のわざ

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増田愛子
【動画】「忠臣蔵」早野勘平のかつらの仕掛け=増田愛子撮影
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 役の身分や年齢から性格まで、歌舞伎の舞台で使われるかつらは、実に多くのことを表現しています。役に合わせてかつらを結い上げる、床山の鴨治忠司さん(56)に話を聞きました。

かもじ・ただし 1966年生まれ。現在は、祖父が創業した「東京鴨治床山」の社長。専ら立役のかつらを手がけている。

男性役 基本だけで約150種類

 「刳(く)り」と呼ばれる生え際、髷(まげ)や左右の鬢(びん)、後頭部下方に張り出した髱(たぼ)……。それぞれ幾つもの形を持ったパーツを合わせ、役の身分や年齢、性格を表す、歌舞伎のかつら。立役(たちやく、男性役)の基本となるものだけで、約150種類にも及ぶという。その全てを把握し、俳優の顔立ちや好みものみ込み、結い上げる。それが床山(とこやま)の仕事だ。

 かつら作りには、金属の土台(台金)を作って毛を植えるまでを担当する、かつら師との連携が欠かせない。翌月以降の演目や配役が決まると、一緒に俳優を訪れ、打ち合わせをするところから仕事が始まる。

 特別な仕掛けを施すこともあ…

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