果たせなかった「訴訟の目的」 赤木雅子さんが問いかけた司法の役割
松浦祥子 堀之内健史 森下裕介
賠償責任を負うのは国であり、公務員個人ではない――。公文書改ざんを強いられ、自死した近畿財務局職員の赤木俊夫さん(当時54)の妻雅子さん(51)が起こした訴訟で、原告側は最高裁判例を乗り越えようと主張したが、25日の大阪地裁判決で退けられた。
財務省の調査報告書は、元理財局長の佐川宣寿氏が「(公文書改ざんの)方向性を決定づけた」と認定。原告側は、佐川氏に賠償を命じることが、公文書改ざんという悪質な行為の抑止につながると主張した。
だが、判決は、日本の損害賠…
- 【視点】
「裁判所って何のためにあるのか」。判決後、赤木雅子さんはそう語ったいいます。司法の存在意義を根本から問いかける言葉です。 挫折で終わったと評されることの多い20年近く前の司法制度改革ですが、改革の道筋を示した司法制度改革審議会の意見書は