証拠となったホルマリン 医師が「偶然」に保存 裁判所の評価は?
松浦祥子
練炭が燃やされたトイレの中で見つかった、一人の男性の遺体。警察は自殺と判断したが、2カ月後に一転、他殺の可能性を視野に捜査を始めた。殺人罪で起訴されたのは男性の姉。証拠の一つに挙げられたのは、解剖医が「偶然」に保存していた、男性の臓器を入れたホルマリンだった。
起訴されたのは、堺市の無職足立朱美被告(48)。2018年3月、弟の聖光(まさみつ)さん(当時40)に実家で睡眠薬を飲ませて眠らせ、トイレで練炭を燃やして一酸化炭素中毒に陥らせ、殺害したとされる。その2カ月前には、父親の富夫さん(当時67)に多量のインスリンを投与し、5カ月後に死亡させた殺人罪にも問われている。大阪地裁での裁判員裁判で、弁護側は無罪を主張している。
10月に行われた証人尋問。法廷のスクリーンに、液体が入ったポリ袋の写真が映し出され、液体を調べた大阪府警科学捜査研究所の研究員はこう証言した。
「複数の臓器の一部がホルマリンに漬かっていると説明を受け、調べた方が良いと思いました」
ホルマリンは、ホルムアルデ…