遠のく核なき世界、首相の焦り 広島サミットへ「橋渡し」描くが…

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小手川太朗 編集委員・佐藤武嗣 野平悠一
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 「私から『ロシアによる核の脅しは決して許すことはできず、使用はあってはならない』と強調した。こうした議論を踏まえ、G20(主要20カ国・地域)首脳宣言が発出されました」

 今月16日のインドネシア・バリ島のホテル。G20首脳会議を終えた岸田文雄首相はこう記者団に語った。宣言は、ロシアによるウクライナ侵攻への批判を盛り込みつつ、「他の見解、異なる評価があった」とロシアの異論にも配慮。そうした中でも、宣言に「核兵器の使用、その威嚇は許されない」と明記され、その議論を自らが主導したとアピールした。

 さらに「来年のG7主要7カ国)広島サミットへもつながる大きな一歩だと高く評価している。議長国として議論をリードしていきたい」とも述べ、広島サミットで核問題を主要議題に掲げる考えも示した。

 だが、首相の発言は「焦りの裏返しでもある」(外務省幹部)。首相は昨年9月の自民党総裁選では戦争被爆地・広島の選出として「核軍縮・不拡散、『核兵器のない世界』を目指す」と宣言した。「世界各国の指導者、特に米国のバイデン大統領と信頼関係を築き、最大の核保有国である米国を動かし、前進を図っていく」とも語っていた。

 外相時代の2016年に当時のオバマ米大統領を広島に招いた実績などを踏まえ、広島サミットで核問題での成果をあげたい――。首相のそんな算段とは裏腹に、「核なき世界」は遠のくばかりだ。

成果が疑問視、それでも出席決断

 核大国のロシアはウクライナ侵攻で、自国民保護には「持っている手段の全てを使用する。これは単なる脅しではない」と核兵器使用を示唆し、威嚇する。

 弾道ミサイル発射を繰り返す…

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    藤田直央
    (朝日新聞編集委員=政治、外交、憲法)
    2022年11月27日9時30分 投稿
    【視点】

    私は2年前、自民党総裁選で菅氏に敗れても「核兵器なき世界」を掲げ続けると語る岸田氏にインタビューしました。日本の政治家で核問題を最もよく理解する一人だと思います。その人が首相になってもう1年以上、なぜ物事が動かないのでしょうか。  中国や