「辞任ドミノ」と騒がれている岸田文雄政権で3人目となる寺田稔前総務相の更迭劇。山際大志郎前経済再生相、葉梨康弘前法相に続き、首相と自民党の間で更迭のタイミングをめぐって、またもやちぐはぐな判断が繰り返された。
「切っちゃダメですか」
日曜だった11月20日昼、8日間の東南アジア歴訪からこの日未明に帰国したばかりの首相から、自民党参院幹部はそんな電話を受けた。首相の相談内容は、「政治とカネ」問題で次々と不透明な事実が発覚し、連日国会で野党の追及を受けていた寺田氏の処遇についてだった。
「切ってはダメです」と参院幹部は即答し、いま更迭なんてありえないタイミングだと伝えた。だが、寺田氏辞任の流れはもう止まらなかった。
この2人の考えは、歴訪の前は正反対だった。
首相はこの外遊に出発する11日、死刑執行をする法相の役割を軽んじるような発言をした葉梨氏を更迭した。このとき、複数の自民党幹部が、寺田氏も一緒に更迭すべきだと進言していたにもかかわらず、首相は受け入れなかった。
電話を受けた参院幹部も更迭を申し入れた一人だ。「寺田氏はどうするのか。葉梨氏と一緒に辞めさせないと、総理の外遊中、国会でずっと野党に追及され続けますよ」。首相に近い幹部も「寺田氏はもう厳しい」と伝えたが、首相は「寺田にはがんばってもらう」と言い残して飛び立った。
国会運営にめど でも首相の一言が…
12月10日の国会会期末ま…
- 【解説】
大きな政治権力をめぐる意思疎通は難しいものです。特に自民党ほどの大組織で、やや古臭い慣習を持つ政党になると、言葉の上っ面だけではない行間を読まなければいけません。簡単に言うと、「これだけ言ったらわかるだろう。あとは自分で考えろ」というカルチ
- 【解説】
辞任ドミノの3人目、寺田前総務相の更迭劇で、当初に報じられていた内容からもう一段、深層が見えてきました。 自民党内には、2人目の葉梨前法相と寺田氏を同時に更迭すべしとの声が多くありました。 しかし、岸田首相は葉梨氏のみを交代させてア