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若者の命奪う「スキルス胃がん」 克服への道筋、どこまで見えたか

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編集委員・田村建二
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 がん全体の治療成績が向上してきているなか、いわゆる「スキルス胃がん」は依然として治療が難しい代表的ながんの一つだ。若い世代の患者が命を失ってしまうケースも後を絶たない。なぜ、治療が難しいのか。打開に向けて、どのような動きがあるのか。(編集委員・田村建二

 東京都の森川広恵さんがスキルス胃がんと診断されたのは2014年6月、35歳のときだった。その数カ月前から、胃の不快感や止まらないせきに悩まされ続けていた。診断時、がんはすでに腹膜などにも広がっていて、治癒を目指した手術はできなかった。

 当時、小学1年生の娘と、保育園に通う息子を育てていた。治療に用いた抗がん剤は当初は効果を示したが、やがて効かなくなり、別の薬へと変更した。その抗がん剤も効果は続かず、三つめの薬のときに治療は断念。広恵さんは診断から1年半あまり後に亡くなった。37歳だった。

 「まだ小さかった子どもたちの成長を見守ることができなかった。きっと、本人はそれが一番つらかったのだと思う」。夫の賢治さん(43)は言う。

粘膜の下に広がり、難しい早期発見

 胃がん患者全体のうち、スキルス胃がんは5~10%を占めるとされる。

 スキルス胃がんは、実は正式な医学用語ではない。スキルスには「硬い」といった意味があり、がん研有明病院の河内洋(ひろし)・病理部長は「『4型胃がん』など、線維化によって胃の壁を硬く、厚くさせながら広がっていくなどの特徴をもつタイプのがんを、医師がスキルス胃がんと呼ぶことが多い」と説明する。

 一般的な胃がんは、高齢者や男性に多い。スキルス胃がんは若い世代でも目立ち、女性の割合が一般的な胃がん患者よりも高い。

 一般的な胃がんの場合は、早期段階であれば手術によって完治が期待できる。一方、スキルス胃がんに特化して詳しくまとまったデータはなく、統計により違いがあるものの、患者の5年生存率は10%ほどとする報告もある。スキルス胃がんは膵臓(すいぞう)がんなどとともに、治療が最も難しいがんの一つといわれる。

 なぜ治療が難しいのか…

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