渋谷のスポーツバー「どこも満席」 試合前からファンや警察が集まる
ドイツ戦に続く勝利を――。サッカー・ワールドカップ(W杯)カタール大会。コスタリカと戦う日本代表を応援しようと27日夜、国内各地でサポーターたちが集った。
東京・渋谷駅前のスクランブル交差点。試合開始の2時間ほど前から、日本代表のユニホームを着た人たちが行き交った。
初戦のドイツ戦も渋谷のスポーツ観戦ができるパブに行ったという東京都杉並区の男性医師(40)は「前回より人出が多い。警察官のホイッスルの音も聞こえる」。
一緒にいた東京都中野区の泉良太さん(22)は「日本」と書かれたハチマキを巻き、「前半に2点、後半に1点で3―1で勝つ。勝ち方にもこだわってほしい」と期待。「事故なく、マナー良く楽しむことが日本代表への応援になる」と強調した。
鎌田大地選手のユニホームを着た都内の男子大学生(20)も友人らと渋谷へ。ネットでスポーツバーを10軒以上探したが、どこも予約で満席だった。「これからテレビが見られる居酒屋を探します」。コスタリカを相手に7得点を決めたスペインを引き合いに「そこまでいかなくても、複数得点してもらいたい」と期待した。
だが、チャンスになかなかゴールが決まらず、後半36分、逆にコスタリカが先制。屋外でスマートフォンの中継に見入っていた千葉県船橋市の男子大学生(21)はがっくり。「ボールを外へはじいてほしかった」。そのまま敗戦が決まると、「いやー、悔しい」と言葉を絞り出し、「できれば今日で決勝トーナメント行きを決めてほしかったが、次の試合も楽しめると前向きに考えたい」と話した。
スクランブル交差点の近くには試合前から、複数の警備車両が集まって物々しい雰囲気に包まれた。試合が始まると、多くの警察官が並び、警察官がテープを伸ばして人々の横断を誘導した。雑踏警備にあたる「DJポリス」も出動し、車両の上から「警察官の整理に従って、ゆっくりと歩道をお進み下さい」などと繰り返し呼びかけた。
試合終了から30分ほどで、多くの警察官らは撤収した。敗戦の影響もあってか、交差点付近での大騒ぎや混乱は見られなかった。(多田晃子)
大衆居酒屋が軒を連ねる東京・浅草の「ホッピー通り」。多くの店のテレビが試合中継を映し出し、日本がチャンスを迎えるたび、店先から「おーっ」と歓声が上がった。
「居酒屋浩司」もそのひとつ。公務員の藤原華子さん(32)と会社員の小林彩翔さん(33)は「テレビのある店はすぐに席が埋まると思って早めに来店した」と言う。藤原さんは「前回のドイツ戦が奇跡だったと言われないよう、大差で勝って実力を示して」。
ロシア人の会社員マリア・ハリナさん(43)も同じ店で観戦。日本在住歴25年で「日本に愛着があるから心は日本人。日本代表を応援します」と笑顔だった。(松田果穂)
浅野拓磨選手の地元・三重県菰野町でも
日本代表のFW浅野拓磨選手の地元・三重県菰野(こもの)町ではパブリックビューイング(PV)が開催され、ファンら約280人がスティックバルーンを鳴らしてエールを送った。浅野選手はドイツ戦で勝ち越しのゴールを決め、鮮烈な印象を残した。コスタリカ戦では後半から出場し、会場の熱気は最高潮に達した。
会場となった菰野町町民センターでは、試合開始前に入場整理券を求めたファンらが長い行列をつくった。
先頭にいた南川賢之介さん(56)は午前9時20分ごろから並んだ。ドイツ戦での浅野選手の活躍に勇気と感動をもらったという。急きょ購入した日本代表のレプリカユニホームを着込んでやってきた。「けがをせずに一生懸命プレーしてほしい」
浅野選手が登場すると、観客は盛り上がったが、後半に失点。試合に敗れると「はぁ」と会場から大きなため息がもれた。
浅野選手が少年時代に所属した「ペルナSC」でプレーしている小学2年松永隼斗さん(7)は「悔しい」。6月のイベントで浅野選手から「サッカーやってるの?」と声をかけられ、その時にプレゼントされたサイン入りのボールは宝物だという。次の試合に向けて「勝って下さい」と話した。
家族でサッカーファンだという高校2年市橋心彩(こあ)さん(17)は、妹で中学3年の永琉(えいる)さん(15)と同県四日市市から応援に来た。日本代表ユニホーム姿で目元にブルーのラインストーンを付け、気合十分だ。心彩さんは「残念だけど浅野選手が少しでも活躍できるのが見られた。次もがんばってくれたら」と話した。
浅野選手の兄の晃平さんも会場に駆け付けた。次戦に向け、「スペインはコスタリカ以上のチームなので、ドイツ戦と同様に奇跡を起こして欲しい」と話した。(高絢実)
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