(27日、W杯1次リーグE組 日本0-1コスタリカ)
これが世界の厳しさだ。攻守のバランスを保ちながら試合を進めてきた日本が、一瞬のスキで沈んだ。
後半36分。左サイドで球を奪えそうになった。そこで途中出場の三笘薫が一瞬、足を止めてしまった。「球際で負けていた。あれがなければ……」。そう言ったものの、後の祭りだった。
そこからの展開で、最終ライン裏へ浮き球を送られた。伊藤洋輝、吉田麻也がつなぎきれず、こぼれた球を守田英正がクリアしようとしたが、カットされる。最後はコスタリカのフジェルがシュート。GK権田修一がのばした手をはじき、ゴールネットが揺れた。
「相手は勝ちに来る。その思惑を止めながら、攻めに出る」
森保一監督は、選手たちにそう話していた。初戦で大敗したコスタリカを相手にしても、無理して攻めるようなことはしないというメッセージ。その姿勢は先発5人を入れ替えても、チームに浸透していた。球を保持する時間を長くしながら、慎重に事を運んだ。
通る可能性の低い縦パスを入れ、相手の逆襲を食らうリスクは冒さなかった。じわり、じわりと左右、中へ外へと球を回し、スキをうかがった。相手ボールになっても、局面に応じて守り方を使い分けた。ひやりとする場面は少なかった。
試合をコントロールしながら得点機を見いだして結果につなげる、はずだった。
「失点の場面以外は思ったような感じ。選手は勝つ確率を上げる戦いをしてくれた。結果が、狙い通りではなかった」
試合後の森保監督の言葉が全てだろう。プラン通りに進んでも、わずかなほころびが致命傷になる。W杯の怖さを、改めて思い知らされもした。
ドイツ戦で得た自信とコスタリカ戦の教訓を胸に、12月1日(日本時間2日)のスペイン戦に決勝トーナメント進出をかける。「元々、3戦をトータルで考えて1次リーグを突破するつもりだった。我々の良さを出し、勝つための準備をしたい」。負けても下を向かず、森保監督は淡々と言葉をつないだ。(藤木健)
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