27日投開票された和歌山県知事選。無所属新顔で元衆院議員の岸本周平氏(66)が当選した。ただ、今回それ以上に注目を集めたのは、保守王国で勃発した自民党内の主導権争いだった。その火種はくすぶり続けており、知事選は「紀州政争」の序章に過ぎないとの見方は強い。
当選確実の報道を受け、岸本氏の選挙事務所には、県連会長の二階俊博元幹事長(83)、県連会長代行の世耕弘成参院幹事長(60)ら県選出の国会議員が並んだ。二階氏は「知事にだけ任せておいたらいいというものではない。お互い懸命に頑張ることを誓い合うゆうべにしたい」。世耕氏も「和歌山の人口を増やしていく。そういう県政を心から期待したいし、われわれ国会議員もしっかり応援したい」と語った。両氏が時折笑顔を浮かべて言葉を交わす場面もみられた。
自民党のほか、立憲民主党、国民民主党などから支援を受けて岸本氏が制した今回の知事選。与野党相乗りの構図が固まった時点で、事実上勝敗の流れは決まっていた。むしろ、激しかったのは、岸本氏一本化に至るまでの自民党内の攻防だった。
記事後半では、県出身の官僚擁立という県連の決定に反旗を翻した町村会の思惑を描きます。10増10減の衆院選区割りを見据えて、二階氏と世耕氏らがうごめく「紀州政争」について解説します。
自民党県連は9月上旬、4度…