「サッカーあるある」にはまった日本 狂ったリズムを元には戻せず
(27日、W杯1次リーグE組 日本0-1コスタリカ)
「これがサッカーの難しさ」。取材エリアに現れた主将のDF吉田麻也は、宙を見ながらつぶやいた。
驚くような好試合をしたあとに、信じられないような凡戦を演じてしまう。「サッカーではよくあること」と日本協会の田嶋幸三会長もぼやいた。日本は、いわゆる「あるある」にはまってしまったのだ。
立ち上がりは、悪くなかった。開始30秒、初先発したMF相馬が左サイドをドリブルで持ち上がり、敵陣深くまで突破した。相手は初戦でスペインに0―7で大敗。ゴールは、時間の問題かと思われた。
だが、すぐにちぐはぐさが目立つようになる。堂安律がいつもより球を長く持ちすぎて相手に奪われる。球扱いが得意な鎌田大地がトラップミスをする。「個人的にも、チームもイージーなミスが多かった」と鎌田。
コスタリカの守備には迫力もあった。後がない状況で、とにかく気持ちが入っていた。球の奪い合いでは激しく体をぶつけてきた。
日本は攻撃にリズムが生まれなかった。
ベンチも動きはした。ドイツ戦で機能したシステム変更だ。前半30分過ぎには、森保一監督は、DFを4人から3人に変え、サイドMFをうまく生かそうとした。相手の布陣により近くなることで、守備時に圧力がかけやすくなるように手を施した。
ただ、一度失った流れは戻らない。後半途中から攻撃の切り札、MF三笘薫を投入。数回、左サイドを単独で突破してゴール前にパスを送った。それでも、鎌田の決定的なシュートは、コスタリカの名手GKナバスにかき出された。
シュート数は日本の14本に対し、コスタリカは4本。唯一の枠内シュートに沈んだ。
「もう一回立ち上がらなきゃいけない。自信と勇気を持ってスペイン戦に挑まなきゃいけない。すべてを投げ出すには、まだ早すぎる」。吉田は言い聞かせるように言った。(勝見壮史)
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