今も私を支える父の言葉 来日18年、先生として教えたいこと
高絢実
外国人だからできない、ということはない。
三重県鈴鹿市に住む日系ブラジル人の女性が、来春から高校の先生になる。大山ジェシカさん(28)。子どもたちに伝えたいのは、「できないことはない」ということ。
根っこにあるのは、父親が口にした、ある言葉だ。
授業についていけない
ブラジルで生まれた日系ブラジル人4世。10歳の時に来日した。工場勤務だった父親(56)の転職を機に、三重県に移った。
当初はブラジル人学校に通った。「ブラジルで暮らしているような感じ」だった。
困ったのはお金のこと。毎月数万円の授業料が家計を圧迫した。中学2年の3学期に、日本の公立中学に転校した。
すると、言葉がわからず、周囲に溶け込めなくなった。自分のほうを見て笑っている生徒がいると、「何か自分のことを言っているのかな」と不安になった。
日本語の授業もついていけない。学校から家に帰ると、一人で泣いた。
それでも、別のクラスで1対1の授業を受けたり、インターネットの翻訳機能を使って友人と手紙を交換したり。少しずつ日本語を身につけた。
派遣社員だった父親は、大山さんに言った。
片道2時間の高校「落ちたら働く」
「俺みたいになったらアカン…