グローバル人材獲得が不利に?輸出企業が円安を手放しで喜べない理由
聞き手・土居新平
電子部品メーカーのアルプスアルパインは、売上高の8割ほどを海外で稼ぎ、そのうち約3分の2を自動車関連が占めます。円安が進むと円建て換算の利益が膨らみ、業績にとってプラスに働きます。しかし栗山年弘社長は急激な円安を心配しています。なぜでしょうか。自動車向けで力を入れる「安全」分野とあわせて、その思いを聞きました。
――急激に円安が進みました。日本経済に与える影響をどう見ていますか。
「(円安が)輸出産業にとっては良いと言っても、日本産業全体でみると、いまは急激な円安が行き過ぎなのではないかという感じがします」
――売上高の8割ほどを海外で稼いでいますね。
「輸出が多く、海外のビジネスが多いので、円安はどちらかというと業績にはプラスになります。しかし従来ほどプラス効果はありません。円安によって、コストも増えます。原材料の高騰もそうだし、海外の賃金はドルに連動しているので、人件費も増えています」
円安のマイナス面さらに
――手放しで喜べるようにな…

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