あいまいな「極右」、二分類して考える 「社交的」にみせ広げる支持

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田島知樹
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 最近、「極右」の伸長がニュースで騒がれることが目立つ。7日にはドイツでクーデターを計画した疑いで極右勢力のメンバーが逮捕された。「極右」というと、危険な存在というイメージがよぎるが、そもそも極右とは何か。そして、なぜ今、極右なのか。

 9月にあったイタリアの総選挙。「イタリアの同胞」が第1党になり、同党を首班とした政権が生まれた。ネオファシスト政党の流れをくみ、排外主義的な言動で物議をかもしてきた同党を、日本メディアでも「極右」や「極右とされる」などと表現した。

 じつは、極右はあいまいな言葉だ。英語ではfar right。ポピュリズム研究で有名なオランダ出身の政治学者カス・ミュデは極右をさらに二つに分類した。extreme rightとradical rightだ。日本語にすれば、「極端な右」と「急進的な右」で意味の違いはつかみにくい。

 ミュデによると、両者は自由民主主義の根幹でもある多様性を否定し、マイノリティーへの差別や移民排斥などを主張する。しかし、そのための手段が異なる。「急進的な右」は、選挙や議会など民主主義のルールを受けいれる。「極端な右」は違う。民主主義を破壊しようとする。典型はナチスだ。

「極右」とくくられる政党でもその内実は様々です。何が危険でどう見極めるべきか。ナチスを生んだドイツの歴史から考えます。

■ナチスと組んだ保守派の責任…

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